![日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)](https://m.media-amazon.com/images/I/81T7ennxj3L._SY500.jpg)
日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)
伴名 練
早川書房 / 2020-07-16
この本について
最近、人の気持ちってどこまで分かり合えるんだろう、みたいな曖昧な不安がふと湧いてきませんか。会話していても、同じ景色を見ていても、どこか噛み合わないまま時間だけが流れていく感じ。自分でも説明しきれない心の揺れがあるのに、それを言語化する術がなくて、置き去りにしてしまうような日が続いたりします。 伴名練の『日本SFの臨界点[恋愛篇]』は、その「説明しきれない部分」を、物語と光景の断片でそっとすくい上げてくれる本でした。保存されていた抜粋を見ても分かる通り、月や空気、指先の温度、ワインの赤み、弦を押さえる手のかじかみ…そういう細やかな描写が、人と人の距離の揺らぎを具体的に形にしてくれます。死んだ恋人からの手紙や、機械に宿る感情の気配のような設定も、一見突飛なのに、失う怖さや忘れられる不安を妙に正確に照らしてくれるところがあって、読んでいて自分の胸の奥の整理されていない部分と静かに向き合わされました。 個人的には、「私が見ていない間も月は私を見つめている」という一節が強く残りました。誰かの思いは、自分の意識とは無関係に続いていくのかもしれないという感覚は、恋愛に限らず、人との関わりに疲れたときの呼吸のような役割を果たしてくれます。繊細な描写が多いのに、過度に感情を煽らず、ただ「こういう気持ち、あるよね」と寄り添ってくれる距離感も心地よかったです。 静かな物語から感情の輪郭を拾い直したい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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