
ルポ トランプ王国-もう一つのアメリカを行く (岩波新書)
金成 隆一
岩波書店 / 2017-02-03
この本について
政治のニュースを見ていると、「なんであの選択が支持されるんだろう」とモヤッとすることが多いですよね。ただ、自分の知っているアメリカ像の範囲で考えても、どうも腑に落ちないまま終わってしまう。そんなときに、この本の抜粋を読んだ方が保存していた理由がよくわかりました。表の議論とはまったく違う場所で、人が何に追い詰められ、何に期待したのかが淡々と描かれているからです。 個人的に効いたのは、まず「貧困とは思っていなかった」地域が、外からの言葉によって突然“貧困”に分類されてしまうシーンです。物差しが変わるだけで、同じ生活が別の意味を帯びてしまう。これは今の日本の地方でも他人事じゃないと感じます。さらに、製造業が海外に流出した地域で、労働者と経営者が同じ候補を支持していた話も印象的でした。同じ土地にいながら、理由がまったく違うのに、結果として同じ投票行動に流れつく。その複雑さが、ニュースの表層だけでは絶対に見えません。 もう一つ、印象に残ったのは「制度が最悪の事態から守ってくれる」と信じている人たちが、その制度を揺さぶる候補に託してしまうという矛盾です。どこかで聞き覚えのある空気だと思った人も多いはずで、ここを理解できるだけでも、今の政治への見方が少し落ち着きます。 アメリカ政治を学びたい人よりも、「急に社会がギスギスし始めた理由を、自分の頭で整理したい人」に刺さる本だと思います。自分の立場からだけでは届かなかった視点を、静かに増やしてくれる一冊でした。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの80%が集中しています。
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