
ロード・エルメロイII世の事件簿 1 「case.剥離城アドラ」 (TYPE-MOON BOOKS)
三田 誠, 坂本 みねぢ, and TYPE-MOON
この本について
仕事でも日常でも、頑張っているつもりなのに「結局いつも間に合わない」「才能ある人にはどうやっても追いつけない」と感じる瞬間ってありますよね。やる気がないわけじゃないのに、自分の限界だけが妙にはっきり見えてしまうあの感覚。今回の一冊は、そんな“届かなさ”にずっと折り合いをつけられずにいる人に、少しだけ呼吸の仕方を思い出させてくれる物語でした。 この本の良さは、努力とか成長を綺麗ごとにしないところです。主人公は才能に恵まれず、過去の失敗を引きずり、妬みや後悔も抱えたまま前に進みます。抜粋にあるような「天才が空を飛ぶのを地上から見てしまう悔しさ」や「救いなんて結局は誤認かもしれないという諦念」は、現実を生きているとどうしても出てくる感情だと思うんですが、この物語はそれを否定しません。むしろ、そうやって揺れ続ける心そのものを物語の芯に置いています。そして、「それでも見届けて、生きて、語り継ぐ」という、不器用な人間の続け方が静かに積み重なっていくのが印象的でした。 派手な成功物語ではないけれど、自分の弱さとずっと共存してきた人ほど、登場人物たちの言葉の重さがそのまま胸に入ってくると思います。誰かに選ばれたから立派になるんじゃなくて、「後からその意味に追いついていくしかない」と割り切る感じも、現実的で好きでした。 才能の差にしんどさを感じている人、自分の役割にまだ自信が持てない人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの53%が集中しています。
読書の順序
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