
そしてミランダを殺す (創元推理文庫)
ピーター・スワンソン and 務台 夏子
累計読者数3
平均ハイライト数 12.3件/人
star総合評価 47/100
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この本について
人間関係に疲れたときって、「あのとき何を選べばよかったんだろう」と、過去の分岐点ばかり見返してしまうことがあります。誰かの言葉でも、部屋に流れていた音楽でも、あのときの空気の細部を思い出して、そこで止まってしまう感じ。前に進みたいのに、人生のBGMみたいなものが勝手に再生されて、身動きがとれなくなる瞬間ってあります。 『そしてミランダを殺す』の魅力は、そういう“細部”を異様なほど丁寧に拾い上げてくるところです。ジョイ・ディヴィジョンやチェット・ベイカー、深夜のラジオのノイズ、大学の寄宿舎の匂い。どれも事件とは直接関係ないようで、読み手の中に昔の記憶を呼び起こしながら、登場人物の歪みや選択がどこから始まったのかを静かに照らしてくれる。物語の緊張感は強いのに、読んでいるあいだは「自分の人生にもこういう音が流れていたな」と、不思議と落ち着く瞬間があるんです。 特に効くのは、自分の“背景音”みたいなものに無自覚だった人が、読み終わる頃には「環境や記憶が人の判断にどれだけ影響するか」を自然と考えてしまうところ。登場人物の過去の些細な選択がやがて破滅に繋がっていく過程を追うことで、自分の中の小さな違和感に気づけるようになる感覚があります。 音楽や場所の記憶に弱い人、そして「人の心が少しずつズレていく瞬間」を丁寧に見たい人に刺さる一冊です。
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