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シンセミア(下) (講談社文庫)

シンセミア(下) (講談社文庫)

阿部和重

講談社 / 2013-05-15

累計読者数4
平均ハイライト数 30件/人
推定読了時間 約10時間13分
star総合評価 68/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 40%

この本について

日々、自分の中にある“説明しきれないざらつき”みたいなものに、どう向き合えばいいのか分からなくなるときがあります。表向きは普通に暮らしているのに、どこかで境界が揺らいでいる感覚というか。言葉にしづらいだけで、けっこう多くの人が抱えている気がします。 『シンセミア(下)』を読んでいると、その揺らぎ自体を無理に整えようとしない世界に出会います。生者と死者の境界があいまいになったり、小さな町の噂や暴力や妄想が入り混じったり、人物の内側と外側がうまく分けられなくなったりする。読者が保存している抜粋にも、その“曖昧さの濃度”に反応している気配があって、読みながら、自分の中にも似た混線があることを静かに認めざるを得なくなります。 一つは、意味づけを急がなくてもいいという感覚が得られるところ。作中の人物たちも、自分の立ち位置を簡単には説明できないまま動き続けています。もう一つは、小さな町で起きる出来事の泥臭さが、逆にリアルな手触りとして残って、自分の生活の「見えていなかった部分」を照らしてくれるところです。心理的な答えよりも、風景や匂いのほうが先に迫ってきて、そこでやっと自分の感情が動き出すような読書体験になります。 「世界の輪郭が少し歪んで見えるとき、その歪みごと抱えていたい人」に刺さる一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

未曾有の洪水に襲われ水没した神町。二つの死体と共に、終戦直後にこの町で起きた忌まわしい惨劇が浮かび上がる。不穏な噂が町を覆い尽くし、やがてそれは町を二分する勢力の全面抗争へ。神の町の狂態の行き着く果ては。小説のあらゆる可能性を追求し、毎日出版文化賞、伊藤整文学賞をダブル受賞した傑作。
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