
シンセミア(上) (講談社文庫)
阿部和重
累計読者数5
平均ハイライト数 7.4件/人
推定読了時間 約10時間13分
star総合評価 52/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 56%
この本について
仕事でも生活でも、なぜか「そこまで見なくていいのに、見えてしまうこと」に疲れる瞬間ってありませんか。人の気配に敏くなったり、考えなくていいはずの可能性まで想像してしまったり。自分でも説明しにくいけれど、過敏さみたいなものに振り回されることがあると思います。 『シンセミア(上)』を読んでいて、保存されていた抜粋の多くが、まさにその“過剰に見えてしまう感覚”に触れた部分だと感じました。金縛りの描写のように、現実と意識の境目がほどけていく瞬間。何気ない単語ですらざらっとした質感で迫ってくる語彙の濃さ。登場人物が、自分の内側で起きていることを持て余している空気。そのどれもが、普段は押し込めている心のざわつきを少しだけ言語化してくれるように思います。 この本が効くのは、問題を解決してくれるからではなく、日常の裏側にある「説明しづらい違和感」をそのまま扱ってくれるところです。視界が勝手に広がってしまう感じや、些細なことに心が引っ張られる感覚を、物語の濃密さで代わりに受け止めてくれる。読みながら、自分の中のざらつきが「あるもの」として輪郭を持ちはじめるのが、静かだけど確かな変化でした。 こんな人に刺さると思います。普段は理性的に振る舞っているけれど、内側ではずっとざわつきが消えないタイプの人。物語としては重さもありますが、その濃さが逆に安心材料になる読書でした。
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出版社による紹介
未曾有の洪水に襲われ水没した神町。二つの死体と共に、終戦直後にこの町で起きた忌まわしい惨劇が浮かび上がる。不穏な噂が町を覆い尽くし、やがてそれは町を二分する勢力の全面抗争へ。神の町の狂態の行き着く果ては。小説のあらゆる可能性を追求し、毎日出版文化賞、伊藤整文学賞をダブル受賞した傑作。
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