
AIの時代と法 (岩波新書)
小塚 荘一郎
岩波書店 / 2019-11
この本について
デジタルのサービスを使っていると、「これって自分のもののはずなのに、なぜ急に使えなくなるんだろう?」みたいな、じわっとした不安に出会うことがあります。アプリのアップデートで設定が勝手に変わったり、電子書籍が読めなくなったり、AIに任せた処理の結果に自分が追いつけなかったり。便利さを享受しつつも、どこかで「自分がコントロールしていない感じ」が残るんですよね。 『AIの時代と法』は、そのモヤモヤに対して、いきなり解決策を示すというより、「いま社会の仕組みがどこでひずんでいるのか」を言語化してくれる本でした。たとえば、モノからサービスへ取引の前提が変わったことで、所有と利用の境界が曖昧になっていること。あるいは、契約ではなく技術仕様がルールを決めてしまう世界になりつつあること。自分が普段感じていた違和感が、単なる気のせいではなく構造的な問題として整理されていきます。 特に刺さったのは、ソフトウェアに欠陥があっても「製造物」として扱えず、責任の所在が曖昧になりやすい話や、証券取引のミリ秒単位の世界では、人間の判断をどこに残しておくかが現実的な課題になる、という指摘でした。AIの問題って、未来予想図ではなく、すでに日常や仕事の細部に入り込んでいるんだと改めて感じます。 テクノロジーとの距離感に悩んでいたり、「便利だけど何か引っかかる」と感じている人には、腑に落ちる部分が多いと思います。自分の生活を見直すための地図がほしいときに、そっと横に置いておける一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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