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構造素子 (ハヤカワ文庫JA)

構造素子 (ハヤカワ文庫JA)

樋口 恭介

早川書房 / 2020-06-25

累計読者数3
平均ハイライト数 2.3件/人
推定読了時間 約5時間29分
star総合評価 43/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 71%

この本について

何かに追われているわけでもないのに、自分が「どこに属しているのか」ふとわからなくなる瞬間があります。仕事で役割を演じているときも、家でぼんやりしているときも、本当にこれは自分なのか、と足元がふわっとするあの感じです。正体を確かめようとすると逆にぼやけていくようで、答えに触れられないまま一日が終わることもあります。 『構造素子』は、そうした不安を優しく肯定してくれるというより、まったく別の角度から照らし返してきます。作中では人間が「情報として記述される存在」として扱われ、身体や意識の自明性が思い切り揺さぶられます。でも、その揺さぶりの中で、自分が世界をどう認識しているのか、そもそも「見る」とは何なのかという基盤が静かに整っていく瞬間があるんです。記述されないものは存在しないという設定に触れると、逆に、今ここで感じている些細な光や風景のリアリティが強まっていく。不思議ですが、世界の捉え方が一段深くなるような読書体験でした。 さらに印象的なのは、少年が橇で滑り降りる場面の圧倒的な描写です。あれを読むと、自分が日々「見過ごしている感覚の豊かさ」を思い出させられるというか、意識が情報で成り立つとしても、経験そのものの手触りは確かにここにあると思えるんですよね。 自分の輪郭が曖昧に感じる人、あるいは世界との距離感がずっとしっくり来ないまま生きてきた人に、特に刺さる一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

売れないSF作家だった父ダニエルの死後、エドガーは母ラブレスから未完の草稿を渡される。その物語内で、人工意識の研究者だった両親は子をもうけるかわりに人工意識、エドガー001を構築した。自己増殖するエドガー001は新たな物語を生み出し、草稿を読むエドガーもまた、父ダニエルとの思い出をそこに重ね書きしていく。選考会で絶賛を浴びた、現代SF100年の類い稀なる総括。第5回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。解説/神林長平
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