
新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ (中公新書)
黒木登志夫
中央公論新社 / 2020-12
この本について
コロナの話題って、数年たった今でも気持ちの整理がつかないままなんですよね。何が正しくて、どれが思い込みだったのか、当時の記憶とニュースの断片が入り混じっていて、自分でもよく分からなくなることがあります。後遺症の話を聞くたびに不安がよみがえったり、検査やワクチンの仕組みを説明されても「結局どう理解すればいいのか…」と手を止めてしまう人も多いはずです。 この本は、そういう曖昧な部分を、一度フラットに整理し直すのにちょうどいい存在でした。例えば、後遺症の割合がどれくらいなのかを数字で示してくれると、漠然とした怖さが少し落ち着きますし、PCRで検出されるウイルスと「実際に感染性があるウイルス」が違うという説明には、当時の混乱の理由が腑に落ちる感じがありました。また、倍加時間やRtのような指標が何を意味していて、どこまで状況判断に使えるのかを噛み砕いて書いてくれているので、報道に振り回されてきた身としては「そういうことだったのか」と肩の力が抜けます。 さらに、ワクチンの保存温度の違いがどこから来るのかとか、ベロ細胞がなぜ研究で重宝されるのかといった“裏側”の話も、専門書ほど硬くなく読めるので、知識というより視界が広がる感覚に近いです。パンデミックをどう理解すればいいのか、そしてこれからどう共生していくのかを、現実的な距離感で考えるための材料を淡々と置いてくれる本でした。 特に、当時の情報の嵐で自分の判断基準を見失ったまま、いまもどこか引っかかりを抱えている人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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