
Another【上下合本版】 (角川文庫)
綾辻 行人
KADOKAWA
この本について
仕事でも人間関係でも、「今、どこまで踏み込んで知るべきか」とか、「知らなければ楽なのに、でも知らないままでいるのも落ち着かない」という場面ってありますよね。僕自身、その境界をつかめなくてしんどくなることが多いんですが、『Another』を読んでいると、その“タイミング”のズレがどれだけ世界の見え方を変えてしまうかを、物語の形で突きつけられます。 読者の方が残していた「知るタイミングっていうのがある」「気にしてるでしょ、それ」という抜粋には、まさにその揺れが出ていて、物語における怪異よりも、登場人物たちが“知らないことに耐えられない気持ち”に引きずられていく様子が刺さったのかなと感じました。クラスで毎月起こる死の理由を急いで掘り起こそうとするほど状況が悪化していくのは、現実でも、焦って答えに飛びつくと判断を誤る瞬間に近いものがあります。逆に、何気ない「チーズ」の笑顔とか、誰かの名前をたしかめる会話みたいな細部にこそ、見えていなかった前提が隠れているんですよね。 この物語が効くのは、恐怖よりも「自分の判断の癖をいったん置き直してみたい」と思っているときです。曖昧な違和感を放置したまま動くとどうなるか、逆に、無理に確かめにいくと何を失うのか。そのバランス感覚を、小椋や鳴たちのやりとりを追いながら、自分の生活に重ねて見直すきっかけになると思います。「情報との距離を測るのが苦手な人」には特に刺さるはずです。 怪談として読むよりも、“判断の流れが歪んだときに世界はどう見えるのか”を描いた物語として読むと、日常の小さな選択にもすっと入り込んでくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
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