
哲学は化学を挑発する: 化学哲学入門
落合 洋文
化学同人 / 2023-08-29
この本について
化学を勉強していると、「これ、本当に“見えている”と言っていいのかな?」みたいな微妙なひっかかりが残ることがあります。電子の矢印も、オービタルの絵も、普段は便利だから使っているだけで、実際のところどれくらい“本当”なのかはよくわからない。そのまま流してきたけれど、どこか気持ち悪い。この本を読んだ方の抜粋を見て、僕もまさにそこが刺さりました。 『哲学は化学を挑発する』は、そういう「なんとなく抱えていた違和感」を一段深いところで言葉にしてくれる本です。電子の動きがフィクションだという話や、分子構造が“見つかった”のではなく“説明のために発明した概念”だという指摘は、知識を壊すというより、普段の道具立てをいったん棚に戻して眺め直すような感覚に近いです。反応機構を描くときの直感も、元素の性質を理解する手触りも、実は〈人と物質世界〉の関係性の中で生まれているという視点は、自分が化学をどう扱っているのか見直すきっかけになります。 読んでいて感じたのは、「分子を見てきたように語る」自分の癖を笑いながら認めつつ、それでも化学を続けている理由に少し近づけること。この距離感がちょうどよくて、誰かの価値観を押しつける本ではありません。むしろ、迷いながら化学を使っている人に寄り添ってくれる一冊です。 理論と現実のあいだでもやっとしてきた人、あるいは「化学って不思議な学問だよな」と感じている人には特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
読書の順序
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