
この本について
物価が上がるたびに、給料や生活とのバランスをどう考えればいいのか、なんとなく不安になることが増えました。同時に「昔はこんなじゃなかったのに」と、デフレ慣れした感覚が抜けないまま今の状況に置いていかれているような気もします。僕自身も長くそのモヤモヤを抱えていて、インフレという言葉を聞くだけで身構えていました。 この本がありがたかったのは、いま起きている変化を「怖がらなくていい理由」と「怖がったほうがいい部分」に分けて、淡々と整理してくれたところです。たとえば、デフレ期の賃金据え置きには社会としての理由があったこと、そしてその前提が崩れたからこそ賃金が動き始めているという説明は、ここ数年の変化を腑に落ちる形で言語化してくれます。また、海外インフレをSNSで見た人々の不安が日本のインフレ予想を押し上げた、という指摘も「なんで急に空気が変わったのか」を考えるうえでとても現実的でした。 ただ、この本はインフレを必要以上に持ち上げません。価格メカニズムが戻ることで競争が活性化する一方、企業の体力差によって賃上げ・価格転嫁の格差が開く可能性もきちんと書かれています。つまり、「どこまでが追い風で、どこからが自分で備えるべきリスクなのか」を冷静に見つめるための材料が揃っている一冊です。 今の状況を“なんとなくの不安”で片付けたくない人に刺さると思います。
読んだ内容を、もう忘れない。
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