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劒岳〈点の記〉 (文春文庫)

劒岳〈点の記〉 (文春文庫)

新田 次郎

文藝春秋 / 2006-01-10

累計読者数4
平均ハイライト数 4件/人
推定読了時間 約4時間29分
star総合評価 47/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 39%

この本について

日々、仕事でも人生でも「やろうと思えばできるんだけど、どうにも踏み出せない」という場面ってありますよね。理由は分からないけど腰が重いとか、自分の力量を測りきれずに立ちすくむ感じ。僕もよくそこで足が止まってしまいます。 『劒岳〈点の記〉』を読んでいて強く残ったのは、登山という極端に過酷な行為の中に、人が一歩踏み出すときのリアルな揺れがそのまま描かれているところでした。例えば「登ろうと思えば登れる」という言葉に含まれる静かな自負や、「雪を背負って登り、雪を背負って帰れ」という受け継がれた覚悟。これは努力論ではなく、ただ自分の役割を丁寧に引き受ける人たちの姿なんですよね。そこに、やらなきゃと思いつつ迷っている自分の背中をそっと押すような感覚がありました。 さらに、山を神でも仏でもあると捉える語りや、「山気、霊気に触れて来ればいい」という柔らかさにも救われます。成果とか正しさに縛られがちな日常から少し距離を置いて、ただ目の前の仕事や挑戦に静かに向き合う視点を取り戻させてくれる。山に登る理由が人それぞれでいいように、自分が進む理由も別に立派じゃなくていいんだと思わせてくれます。 挑戦したい気持ちはあるのに、自分の足が前に出ないとき。この本は、無理に鼓舞するのではなく、現実の重さも迷いも受け止めた上で前に進む感覚を思い出させてくれます。自分のペースで踏み出したい人に刺さる一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

日露戦争直後、人跡未踏といわれ、登ってはいけない神の山と恐れられた北アルプス、劒岳(つるぎだけ)。正確な地図をつくるため、この山頂に「三角点を埋設せよ」との至上命令を受けた測量官、柴崎芳太郎。たいへんな悪路と悪天候、かさばる器材の運搬、地元の反感などの困難と闘いながら、柴崎の一行は山頂を目ざして進む。同じく劒岳の初登頂をめざす、アマチュアの日本山岳会隊の動きに、上官からの圧力はさらに増して…山岳小説の白眉といえる傑作。映画原作!
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