
三毛猫ホームズの推理 「三毛猫ホームズ」シリーズ (角川文庫)
赤川 次郎
KADOKAWA / 2019-05-24
この本について
人を相手にしているはずなのに、「この人いま何を考えてるんだろう」と戸惑う場面ってけっこうありますよね。仕事でも日常でも、相手の表情を読もうとして空回りしたり、自分の感覚がずれている気がして不安になったり。頭で整理しようとするほど混乱する、あのモヤモヤです。 『三毛猫ホームズの推理』の抜粋を見ていると、そのモヤモヤにちょっと風が通る感じがあるんです。片山の混乱も、相手の予想外の行動も、読んでいるこちらが抱える「人の心は読めない」という前提をそのまま扱っている。でも同時に、ホームズの目に一瞬だけ感情が浮かぶ場面のように、完全には分からなくても“ふと伝わるもの”があることも描いてくれる。そこが妙に救いなんですよね。 この作品が効いてくるのは、人間関係を理屈で割り切ろうとすると疲れてしまうときです。理解しきれないことを前提にしつつ、それでも目の前の人をちゃんと見ることで見えてくるものがある。そういう温度感で描かれているので、読後に少し肩の力が抜けます。あの「おいしいコーヒーが飲みたい」と言って歩き出すシーンも、状況は重いのに妙に人間らしくて、感情の複雑さをそのまま受け取れる。 人の気持ちを無理に“整理しようとしてしまう人”には特に刺さると思います。物語として楽しみつつ、人との距離感や観察の仕方が自然と整っていく一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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