
Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
エラリイ・クイーン, 宇野利泰, and 宇野 利泰
累計読者数3
平均ハイライト数 1.3件/人
star総合評価 37/100
boltライト読書型
この本について
仕事でも日常でも、相手の発言や行動を「きっとこうに違いない」と自分の都合で再構成してしまうこと、ありませんか。あとから見返すと、事実より“解釈”のほうを強く握りしめていたんじゃないか…と気づいてちょっと落ち込むやつです。僕もよくやらかします。 『Xの悲劇』の抜粋を読んでいても、まさにその癖に切り込まれている感じがありました。人が陥りがちな早とちりを、ただの失敗談ではなく「なぜそう見えてしまうのか」という思考のクセごと描き出すので、読んでいて自分の判断の曖昧さをまざまざと見せられます。登場人物が畏敬のまなざしを向ける場面も、ただの尊敬ではなく“自分には見えていなかった視点”に出会った瞬間の空気があって、ちょっと胸がざわつきます。それと同時に、脅迫めいた気配を感じ取ってしまうような微妙な揺れもあって、人間の観察ってこんなにもズレやすいのかと実感します。 この物語は、犯人当ての面白さだけでなく、自分の思考や前提をいったん外してみるきっかけになります。目の前の出来事を「合っているはずの形」に押し込めてしまう癖が気になる人には特に刺さると思います。推理小説としての完成度はもちろんですが、読み終わったあとに、自分の視野の狭さを静かにチェックしたくなる一冊でした。
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