
容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋 / 2008-08-05
この本について
仕事でも人間関係でも、「考えれば考えるほど深みにはまって、答えが見えなくなる時」ってありませんか。自分では筋道立てて動いているつもりなのに、どこかで予想外の“未知数”が入り込んで、計画がにじんでいくあの感じです。最近その感覚に刺さったのが、『容疑者Xの献身』でした。 この物語は、天才的な論理の積み上げが“ほころびていく瞬間”を描くのが本当にうまいです。読者が保存していた場面――自転車の細かな不自然さ、ちょっとした受け答えの食い違い、警察が落とす「ん?」という違和感。それらが積み重なるにつれて、石神の信じていた完璧な計算が少しずつ崩れ、彼自身も気づかないうちに追い詰められていく。自分の仕事でも、計画通りに組んだはずの資料やプロジェクトが、些細な前提のズレでゆっくり狂っていく時があって、その感覚と妙に重なりました。 そしてもう一つ、この作品は「他人のために動くことの限界」についても刺さります。相手のために最善を尽くしたつもりでも、相手はその“意志”に気づいていないかもしれないし、そもそも望んでいないかもしれない。特に、靖子が石神を“壁のひび割れのような存在”としてしか見ていなかったという描写は、胸が痛くもあり、どこか現実的でした。善意と献身のズレって、日常でも起きがちですよね。 こんな人に刺さると思います。自分の「正しさ」や「努力」が、実は独りよがりかもしれないとふと不安になる人。物語としても面白いですが、読み終えると、他人への距離の取り方や、論理と感情の折り合いのつけ方をもう一度考えたくなる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt
The Devotion Of Suspect X: A DETECTIVE GALILEO NOVEL (Detective Galileo Series) (English Edition)
Keigo Higashino

ヨルガオ殺人事件 下 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)
アンソニー・ホロヴィッツ and 山田 蘭

数字を一つ思い浮かべろ (文春文庫)
ジョン・ヴァードン and 浜野 アキオ

Salvation of a Saint: A Detective Galileo Novel (Detective Galileo Series Book 2) (English Edition)
Keigo Higashino、Alexander O. Smith

犯罪者【上下 合本版】 (角川文庫)
太田 愛
書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要
