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[新版]日本国紀<上> (幻冬舎文庫)
百田尚樹
幻冬舎 / 2022-06-17
この本について
歴史の本を読むときって、「結局なにが本当なのか」「学校で習ったこととどう違うのか」といったモヤモヤがつきまといませんか。特に日本の古代から中世にかけては、文献も少なく、伝説と史実がごちゃっとして見えるので、読み進めるほど霧の中にいるような感覚になることがあります。僕もまさにそこが長年の苦手ポイントでした。 『日本国紀〈上〉』を読んで感じたのは、この“霧の濃淡”がそのまま描かれているところが、逆に自分の理解を整理してくれるということです。六世紀以前の史料の乏しさがはっきり語られたり、平安時代の貴族が死を徹底的に避けた結果、武士が前に出ざるを得なかった背景が具体的に書かれていたり、土地制度の細かい変化が「なぜ武士が土地に命を懸けたのか」につながっていく描写が続いたり。このあたりが保存されていた抜粋にも色濃く出ていて、読者の「つながりで理解したい」という欲求に刺さったのだと思います。 僕自身、歴史を“断片”で覚えていたころは面白さが分からなかったんですが、この本は物語でも教科書でもなく、事実の限界と人間の動きが並列で置かれているので、「あ、そういう流れだったのか」と腑に落ちる場面が多かったです。とくに、地頭や守護の役割が農民の生活とどれだけ直結していたのか、あるいは院政がどんな現実的な力学から生まれたのかなど、日常の延長線で読める部分が多いのもありがたかったところ。 歴史を一気に語り切る本ではないですが、「日本の昔の話を、自分の理解できるスピードでつなぎ直したい人」にはとても向いていると思います。自分の中の歴史の空白が、少しずつ埋まっていく感じが好きな人には、きっと刺さります。
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