
「俺は聞いてない!」と怒りだす人たち (朝日新書)
榎本 博明
朝日新聞出版 / 2012-12-30
この本について
仕事で「いや、それ前に言いましたよね…?」と思いながらも、相手にそう言い切れず、結局こちらが気まずい空気をかぶる。そんな場面、けっこうありますよね。特に相手が上司だと、「聞いてない」の一言で、これまでの経緯が全部なかったことになってしまう感じがして、モヤモヤだけが残ります。 この本が扱っているのは、そのモヤモヤの正体です。読んでみて感じたのは、「上司が都合よく忘れている」の一言では片づかない構造があるということ。日本のコミュニケーション特有の曖昧さや、上の立場であるほど“知らされないこと”を怖れる心理が絡んで、あの「俺は聞いてない!」が生まれてしまう。だから、自分の伝え方を少しだけ変えるだけでも、後々の齟齬が減る余地があるんだと気づかされました。 特に効いたのは、相手のメンツに触れるポイントを見誤ると、言葉の中身より「知らされなかったこと」自体が問題化してしまうという指摘です。思い返すと、こちらは事実を共有したつもりでも、相手にとっては「自分だけ蚊帳の外にされた」という受け取り方になることが確かにあるんですよね。その視点を知っているだけで、報告の順番や伝えるタイミングを調整する意味が腑に落ちました。 職場での説明や合意形成で、毎回どこか小さな行き違いが積み重なってしまう人に向いている本です。大げさに人間関係を改善するというより、「ああ、そういう仕組みで摩擦が起きてたのか」と静かに理解が進むタイプの一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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