
或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―(新潮文庫)
松本清張
累計読者数4
平均ハイライト数 4件/人
star総合評価 38/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 17%
この本について
日々、自分の努力に意味があるのか分からなくなるときがあります。誰に求められたわけでもないのに気負ってしまい、ふとした一言で一気に心がしぼむ。そんな瞬間にどう向き合えばいいのか、私もよく迷います。 松本清張の『或る「小倉日記」伝』に出てくる人たちの揺れ方は、その迷いに妙に寄り添ってきます。たとえば「そんなことを調べて何になる」と言われて、急に自分の努力がつまらなく見えてしまう耕作の場面。あれは特別な話ではなく、私たちがふだん抱える不安の延長にあるように感じます。誰かの無関心、にべもない返事、一升瓶の酒に込められた小さな意地。どれもささいに見えるのに、心に残ってしまうあの重さが丁寧に描かれていて、読む側の気持ちを代弁してくれるようでした。 この短編集が効くのは、感情を大きな言葉で説明せず、細部の仕草や空気で示してくれるところです。てる子との逍遥が徐々に忘れがたい記憶へと変わっていくように、後からじんわり形を変えて残っていく感情があることを思い出させてくれます。また、人との距離感や立場の差によって生まれる小さな歪みを「あるある」と思えるレベルで描いてくれるので、自分の感情が極端ではないと気づけるのも救いでした。 人間関係の微妙な温度差に疲れたときや、「自分だけが空回りしている気がする」と感じている人には特に刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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