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東京の下層社会 (ちくま学芸文庫)

東京の下層社会 (ちくま学芸文庫)

紀田順一郎

筑摩書房 / 2000-03

累計読者数4
平均ハイライト数 28.3件/人
推定読了時間 約5時間42分
star総合評価 67/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 39%

この本について

最近、「今の社会のしんどさって、どこから来ているんだろう」と考えることが増えました。ニュースで貧困の話を見ても、説明としては分かるけれど、自分の暮らしにどうつながっているのかはどこか掴みにくいまま。そんなモヤモヤを抱えているときに、この本を読むと、少し視界が変わります。 『東京の下層社会』は、明治〜昭和の都市の底で生きた人たちの生活を、とにかく「細部」で見せてきます。ヨナゲの泥だらけの仕事、娼妓が嘘の病を疑われて剃刀の上を歩かされる場面、残飯にさえ固有の名前がある世界、家主が通り道に立って帰宅した住民から家賃をむしり取る仕組み……読者が保存した抜粋がどれも重たいのは、彼らの生活がただ「かわいそう」ではなく、構造ごと人を追いつめていく様子が、そのまま書かれているからだと思います。 読んでいて感じたのは、歴史の話というより、いまの感覚に直結してくるところが意外と多いということです。「弱い者どうしの疑似的な連帯」が生まれてしまう理由とか、「家は単なる建物ではなく、神を祀るかどうかで境界ができる」という価値観とか、あるいは救護の区分が生活の不安を表す“カード階級”として流行語になる社会とか。現代の言葉とは違っても、根っこにある不安や息苦しさは今と地続きに思えます。 歴史の知識を得るためというより、「社会のしくみが人の生活をどう形づくるのか」を実感としてつかみたい人にはとても刺さる一冊です。私も、漠然とした違和感の正体を少しだけ言葉にできました。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

駆け足の近代化と富国強兵を国是とする日本の近代は、必然的に社会経済的な弱者―極貧階層を生み出した。しかし、多くの日本人はそれを形式的な慈善の対象として認識するのがせいぜいで、社会的存在として見据えようとせず、本質的には彼らを「落伍者」「怠け者」として切り捨ててきた。スラムの惨状、もらい子殺し、娼妓に対する恐るべき搾取、女工の凄惨な労働と虐待...。張りぼての繁栄の陰で、疎外され、忘れ去られた都市の下層民たちの実態を探り、いまなお日本人の意識の根底にある弱者への認識の未熟さと社会観のゆがみを焙り出す。
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