
この本について
ふだん人と話していて、「なんでこの人はその言い方を選んだんだろう」とか、「本音がどこにあるのか分からない」とか、そんな小さな違和感に足を取られることってありませんか。相手の気持ちを読みすぎて疲れたり、逆に自分の言葉に自信が持てなかったりして、あとからひとり反省会をしてしまうような日です。 『つれづれ、北野坂探偵舎』はミステリの形をしているんですが、読んでみると人の心の“揺れ”のほうに意識が引っ張られます。たとえば「下手な作り笑いには好感が持てる」というセリフが出てきますが、こういう言葉に触れると、普段は見過ごしがちな“表に出ない感情”に光が当たる感じがするんです。また、グラスひとつで味が変わるという描写も、言葉や態度の違いが人の印象をどう変えるかにそのまま重なるようで、自分のコミュニケーションの癖を見直すきっかけになります。さらに、夢や言い訳に触れる場面では、人が無意識に選んでいる“逃げ方”にまで目が向き、ああ自分も同じようなところがあるな、と妙に落ち着いたりします。 派手な事件解決よりも、人の言葉に宿る細かな温度が気になる人には特に刺さると思います。ミステリとしてだけではなく、日々の人間関係でつい考えすぎてしまう自分の視点をそっと調整してくれる一冊でした。
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