
新史論/書き替えられた古代史1 「神と鬼のヤマト」誕生(小学館新書)
関裕二
小学館 / 201310
この本について
歴史の話を読んでいると、「結局どこまでが作られた物語で、どこからが現実なのか」というモヤモヤがつきまといます。学校で習った古代史と、遺跡や最新研究が示す姿がうまくつながらなくて、自分の中で地図がうまく描けない感じです。僕もずっとその違和感を抱えていました。 この本は、そこにいきなり正解を示すというより、「なぜその物語が必要だったのか」「どんな現実を覆い隠すためだったのか」と考える視点をくれます。たとえば、ヤマト建国が軍事制圧ではなく、祭祀形態の共有によってゆるやかな連合を作ったという指摘は、国家の成り立ちを“力の勝敗”だけで追えないことに気づかせます。また、出雲や北部九州の鉄の流通をめぐる駆け引きが語られることで、神話の裏に具体的な政治と地理があったことが、急に輪郭を持って見えてきます。さらに、「鬼」や「祟り」の描かれ方から、当時の人びとの恐れや関係性まで読み取れるのが面白いところです。神話がただの物語ではなく、失われた事件や感情の名残だったのかもしれない、と自然に思えてきます。 歴史を“物語”としてではなく、人の動きや不安や計算の積み重ねとして捉え直したい人には、とても刺さる一冊だと思います。古代史の専門的な用語が並んでいても、そこで語られているのは「どうして自分たちは今こうなっているのか」という、けっこう普遍的な問いでした。僕自身、点で覚えていた知識が線でつながり、ようやく地図が描けた感覚があります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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