
天平の甍(新潮文庫)
井上 靖
新潮社 / 1964-03-20
累計読者数3
平均ハイライト数 34.3件/人
推定読了時間 約2時間5分
star総合評価 75/100
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この本について
仕事でも人生でも、自分の決断が本当に正しいのか分からず、周りの温度感にも揺さぶられてしまう時ってあります。言葉では説明できないけれど、「ここまでしていいのか」「自分だけ空回りしていないか」というあの感じです。『天平の甍』を読んでいて思ったのは、普照や鑒真たちも、あの揺らぎと隣り合わせで動いていたんだということでした。 たとえば、普照が日本語への劣等感を抱えつつも議論の場に出ていく場面。正しさよりも「今この役を引き受けなきゃいけない」という気持ちが先に立ってしまう瞬間って、仕事でもありますよね。また、鑒真の沈黙や、真備の感動しない態度の中にある距離感を読む場面では、「相手の本心が分からないまま進むしかない」状況が丁寧に描かれています。自分の努力がどこまで届いているのか分からないあの孤独に、そっと寄り添ってくれる感じがありました。そして、一度の判断では到達できない長い時間軸――世間の熱が冷めるまで待つ二人の決意などを読むと、焦って結論を急ぐ自分の呼吸が少しだけ整います。 派手な励ましではなく、迷いながら動く人間の姿が静かに積み重ねられているので、「誰にも評価されない努力を続けていてしんどい人」に特に刺さると思います。読んでいて、自分の時間の進み方を取り戻せるような一冊でした。
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出版社による紹介
天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した若い僧たちがあった。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい彼ら――在唐二十年、放浪の果て、高僧鑒真を伴って普照はただひとり故国の土を踏んだ……。鑒真来朝という日本古代史上の大きな事実をもとに、極限に挑み、木の葉のように翻弄される僧たちの運命を、永遠の相の下に鮮明なイメージとして定着させた画期的な歴史小説。
目次
天平の甍.海峡.敦煌.蒼き狼. 解題
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