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敦煌(新潮文庫)

敦煌(新潮文庫)

井上 靖

講談社 / 1991-05-08

累計読者数5
平均ハイライト数 4.6件/人
推定読了時間 約4時間1分
star総合評価 41/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 27%

この本について

最近、自分の選択がこれでよかったのか、どこかで違う道があったんじゃないか……と考え込むことが増えていませんか。やり直せるならやり直したいけれど、そんなことはできないと分かっている。その間でずっと宙ぶらりんになる時があります。僕もよくそこで足が止まります。 井上靖『敦煌』の抜粋を眺めていると、行徳の「水が高処から低処へ流れるように今日まで来た」という感覚に、同じ場所を歩いているような気持ちになりました。自分の選択を誇るわけでも、後悔で押しつぶされるわけでもなく、「与えられた条件の中で、自分はこう流れてきた」という静かな受け止め方。これが一度胸に入ると、過去の分岐を責め続ける癖が少し緩むように思います。 さらに、行徳が経典を守る中で「財宝や命は持ち主がいるけれど、経典は誰のものでもない。ただ焼けずにそこにあるだけで価値がある」と感じる場面にも、妙な救いがあります。何を守るべきか分からなくなる日々の中で、自分の力ではどうにもならないものに意味を求めすぎなくていいのだと、ふっと力が抜けるんです。そして回鶻の女を思う行徳の静謐な心のあり方は、人との関係が形を変えても残るものがある、そんな小さな確信を与えてくれます。 過去を悔やみがちな人、無意味さの波に呑まれやすい人に静かに響く物語だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

大らかなロマンを秘める敦煌千仏洞。その偉容を訪ね中国史の奥行きを探る。中国西域の歴史。大佛次郎賞受賞作――シルクロードの途上にあるまち、敦煌。かつて、天竺にむかって三蔵法師玄奘や法顕がたどり、ラクダの隊商が往来した西域のまち、敦煌。大らかなロマンと悠久の歴史を秘めて息づく莫高窟。念願かない、その地を訪れることのできた著者が、胸を燃やしその胸の炎の輝きを情熱こめて綴る旅行記。第3回大佛次郎賞受賞作。
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