
システムはなぜダウンするのか
大和田 尚孝 and 日経コンピュータ
日経BP / 2009-01-26
この本について
システムに関わっていると、「なぜ昨日まで動いていたものが、今日いきなり落ちるんだろう…」みたいな理不尽に出会うことが多いですよね。自分もトラブル対応のとき、原因が見えなくてイラつくというより、ただ途方に暮れる瞬間があります。特に桁あふれとかデッドロックとか、教科書で名前だけ知っていても、実際の現場でどう起きるのかまでは腹落ちしないまま終わってしまいがちです。 この本は、まさにその「腹落ちしない部分」を丁寧に地面まで降ろしてくれる感じがありました。例えば、2038年問題や桁あふれみたいに“予測しづらいのに確実に来る”類のトラブルを、実際のシステムでどう起きたかの具体例つきで理解できること。あるいは、更新ロックや排他制御の失敗がどうしてデッドロックにつながるのか、机上の理論じゃなくて運用テストや待機系サーバーの挙動まで含めて語られること。さらに、「刷新したばかりのシステムが一番怪しい」という、現場ではみんな分かってるけど言語化されてない感覚まできちんと拾ってくれます。 読んでいて思ったのは、システム障害って“技術的な弱点”よりも“思い込み”や“きっかけのなさ”で起きることが多いんだな、という視点の変化でした。テスト不足と言うと雑に聞こえますが、ブラックボックス・テストとホワイトボックス・テストのどちらに穴が空きやすいのか、そもそも何を見落としやすいのかが具体的に描かれていて、自分の仕事の点検ポイントが自然と増えます。 「障害対応で毎回消耗してしまう人」や「原因の特定が苦手なまま現場に放り込まれている人」には、けっこう刺さると思います。読んでいきなり劇的に強くなるわけではないけれど、少なくとも“なんとなくの不安”が“理解できる不安”に変わる、その一歩になる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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