
アンのゆりかご―村岡花子の生涯―(新潮文庫)
村岡 恵理
新潮社 / 2011-09-01
この本について
最近、人目を気にして動けなくなったり、「この選択で合っているのかな」と迷いが続くことがよくあります。正しく立ち回ろうとするほど身動きが取れなくなる感じ、けっこう共通の悩みなんじゃないかと思っています。そんな時に『アンのゆりかご』を読むと、過去の誰かが同じ迷いを抱えながら、それでも前に進もうとした姿に助けられました。 この本に出てくるのは、時代の圧力が今よりずっと強かった時代に、自分の信念と現実の間で揺れ続けた人たちです。例えば、ミッション・スクールが軍国教育を受け入れざるを得なかった場面は、正しさだけでは守れないものがある現実を静かに突きつけてきます。それでも、彼女たちは祈りや教育を手放さず、形を変えながら続けていった。強さというより、しなやかさに近い生き方です。また、戦時下で食べることにさえ困る中でも、本を求める人がいたという描写は、「人が希望を持つために何が必要か」という問いを自然に呼び起こします。どう生き延びるかだけでなく、どう心を保つかまで含めての話なんだと気づかされます。 村岡花子自身の人生もまた、まっすぐではありません。女性参政権運動との関わり、同時代の女性たちの怒りや行動、そして子どもたちの未来に希望をつなごうとした姿勢は、日々の判断で迷う私たちにも小さな灯になると思います。誰かを救おうとしながら、自分自身もまた模索している姿はとても人間的で、背伸びをせずに読めます。 歴史の話だからこそ距離があるようでいて、「しなやかに選ぶ」という感覚は今の生活にも重なります。特に、正しさと現実の間で揺れがちな人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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