
定年後のリアル
勢古 浩爾
草思社 / 2015-12-08
この本について
定年前後って、現役時代のスピードに体が追いつかなくなったり、逆に急に時間が増えて手持ちぶさたになったりして、「この先どうやって生きていけばいいんだろう」とふっと立ち止まる瞬間が多くなると思います。過去の働き方を思い返しても、誇らしさと虚しさが同時に押し寄せてきて、結局どんな気持ちで整理すればいいのかよくわからない。そんなモヤモヤに近いところを、この本はあまり気負わずに触ってくれます。 勢古さんの語り口は、定年後を明るく盛り上げるでもなく、悲観的に語るでもなく、「あれはあれだったのだ」と淡々と受け止める距離感です。読者が抜き出した部分を見ても、どこか肩の力が抜けている。それが逆に効いてくるんですよね。たとえば、年金をいつもらうかの判断も、「どうせ先のことなんて読めない」という、ごく現実的な理由で決める。そういう判断の仕方に触れると、将来設計をカッチリ固められない自分を責めなくていいような気持ちになります。また、「答えを知る必要のない質問はする」という一節は、定年前後に増える“意味探し”の焦りをほぐしてくれる。全部に意味を与えようとしなくていい、と言われているようで楽になるんです。 全体を通して、定年後を“成功”とか“理想の暮らし”に結びつける本ではありません。でも、自分の年齢の変化をどう受け入れればいいのか、毎日の選択をどう軽やかにしていくか、そのあたりの感覚が少しずつ整っていきます。過去にしがみつかず、かといって全部捨てるわけでもない、その中間の立ち位置を探している人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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