
この本について
季節の移り変わりをちゃんと感じたいのに、実際は仕事に追われて「あれ、もう夏なのか…」みたいに気づけば過ぎている。そんなモヤモヤを抱えている人、多いんじゃないでしょうか。僕もその一人で、せっかく外に季節があるのに、自分の中にはうまく入ってこない感覚がありました。 『俳句歳時記』を読んでいて刺さったのは、季語そのものよりも、そこに添えられている小さな説明が季節の“体温”を呼び戻してくれるところです。たとえば「桜の咲くころは天候が変りやすい」という一文だけで、春のあの肌寒さがスッと蘇るし、「少年の手足が長く見えて夏」のような一句に触れると、自分の中の夏の風景が勝手に立ち上がってくる。こういう細部が、忙しさで曖昧になった季節の実感を取り戻す手がかりになりました。 さらに、春彼岸と秋彼岸の区別や、夏を「朱夏」「炎帝」といった別名で呼ぶ文化的な背景も、日常の景色を少し立体的に見せてくれます。特別な心構えはいらなくて、ただページをめくるだけで、自分の感覚が少しずつ外の季節とつながっていく感じがあるんです。 日々が淡々と過ぎていく気がしている人や、季節を味わう余裕を取り戻したい人には、静かに効く一冊だと思います。
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