
芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
松尾 芭蕉、雲英 末雄、佐藤 勝明
角川グループパブリッシング / 2010-11
この本について
仕事や日常に追われていると、「自分の気持ちに名前がつかないまま流れていく時間」が増えます。理由もなく落ち着かない日や、景色は同じなのに心の向きだけが変わってしまう日ってありますよね。そんなときに、芭蕉の句を読むと、不思議と自分の中の“温度”がはっきりする瞬間があります。 今回の抜粋を見ていて思ったのは、読者の方は「五月雨」や「行戻り」のような、季節の揺れと人の心の揺れが重なっている部分に反応しているのだろうということです。芭蕉は壮大な悟りを語るわけじゃなくて、ただ目の前の景色が少し違って見えたという感覚だけを丁寧に拾ってくれる。その姿勢が、忙しさの中で置き去りにしてしまった小さな感情を思い出させてくれます。 この本が助けになるのは、まず「いま自分がどんな気配の中にいるのか」を言葉で掬い上げてくれるところです。例えば最上川の句を読むと、ただの雨音が“積み重なって勢いを生むもの”として感じられ、停滞している気分が少しだけ動き出すきっかけになります。また、田植え歌の場面のように、昔の人の生活の息遣いを知ると、頑張らなきゃと肩に力が入ったときでも、もっと自然体でいいのかもしれないと思わせてくれます。 「季節の変化に、自分の心まで揺さぶられてしまうタイプの人」には特にしっくりくる一冊です。芭蕉の句集と聞くと難しそうに思えますが、現代語訳がそっと寄り添ってくれるので、景色の中に自分の気持ちを置き直すような読み方ができます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの88%が集中しています。
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