
徒然草 (ちくま学芸文庫)
兼好、島内裕子
この本について
最近、気持ちが散らかったまま片づかないとか、やるべきことはあるはずなのに腰が上がらないまま時間だけが流れていく、そんな感覚が続くことってありますよね。何か大きな答えを探しているわけでもないのに、ふと立ち止まってしまう時期があります。僕もそういう時に古典を開くことはほぼなかったのですが、『徒然草』を読み直したら、思いがけず今の生活にそのまま効いてくる言葉がいくつもあって驚きました。 たとえば、理由のないモヤモヤを抱えたまま過ごしている時に、「心に浮かんでは消える想念を書き留めてみる」というあの一節は、今の僕らにもそのまま使える手つきだと思います。書き出してみると、自分でも見えていなかった感情の流れが形になる感覚が確かにあるんですよね。また、「当てにしない」という姿勢も、期待しては落ち込むを繰り返しがちな日常に、ちょっと静かな距離を置かせてくれます。誰かの評価に振り回されがちな時は、「家の中にいるのか外にいるのかわからないくらい静かに過ごす」という描写が、妙に心を落ち着かせます。 それと、身分や見栄にとらわれず、今あるもので間に合わせて生きるという感覚も、現代の疲れや焦りをすっと薄めてくれるところがあります。飾り立てるより、自分のペースに戻っていく方が、結果的に心が強くなる気がしました。 大げさに人生を変えるというより、「今ちょっと立ち止まっている人」にそっと寄り添ってくれる本です。自分の心をゆっくり点検したい時に開いておくと、必要なところだけすっと滲んでくるような読み心地でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの87%が集中しています。
読書の順序
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