
徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)
角川書店
KADOKAWA / 2002-01-25
この本について
最近、「いろいろ頑張っているつもりなのに、結局どこにも向かえていない気がする」とか、「この歳で何を優先すべきかよく分からないまま日々が過ぎていく」みたいなモヤモヤを抱える人、多いと思います。僕もその一人で、気ばかり焦って雑事に追われ、結局たいして前に進めていないな…と胸が痛む瞬間があります。 そんなときに読むと妙に効いたのが『徒然草 ビギナーズ・クラシックス』でした。兼好法師の言葉は、人生訓というより、弱さや迷いを抱えたまま生きてきた一人の人間の「実感」に近いんですよね。たとえば、やるべきことを先延ばしにして歳を取ってしまう弱さも、腕がありすぎるからこそあえて切れ味の鈍い小刀を使う細工師の話も、変に気合を入れた自己啓発よりよほどリアルに刺さります。過度に理想を追わず、等身大の自分でどう生きるかを考えるきっかけになる本です。 読んでいて特に感じたのは、視点がひっくり返る瞬間が何度もあることです。たとえば、歳を重ねるほど「見苦しくなる」という厳しい描写の裏には、人が老いることの現実を直視する姿勢があって、その誠実さが逆に心を軽くしてくれます。また、弟子の心の緩みを見抜いて声をかける木登り名人の話は、技術よりも「人を見る力」のほうがよほど大事だと気づかされます。 忙しさに流されがちな人、目標を絞りきれずふわふわしている人、そして「自分だけモヤモヤしているんじゃないか」と思ってしまう人には、静かな刺激になる一冊だと思います。
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