
動物裁判 (講談社現代新書)
池上俊一
講談社 / 1990-09-17
この本について
仕事でも生活でも、目の前の出来事を「なんでこんな仕組みになってるんだろう」と考え込むことがよくあります。合理的に見えることも、よくよく遡ると感情や文化の積み重ねでできていて、その背景が見えないまま判断に迷う……そんなモヤモヤに覚えがある人には、この本がけっこう効きます。 『動物裁判』が扱っているのは、中世ヨーロッパで動物が人間と同じ裁判手続で裁かれ、場合によっては処刑までされていたという事実です。最初は「なんで?」という気持ちしか湧かないのですが、読み進めるほど、当時の人々が自然をどう捉え、秩序をどう守ろうとしていたのかが立体的に見えてきます。例えば、世俗裁判と教会裁判の二系統があった理由や、動物に人間の衣服を着せた処刑の背景、さらには所有者の責任がどこまで問われたのか──そうした細部が積み重なると、価値観の違いが「異様」から「理解可能」に変わっていきます。 おもしろいのは、彼らなりの論理が徹底していたことです。水車の利用拡大や耕地の変化など、生活環境の変動と自然観の変化が裁判の隆盛に結びついていたり、虫に対してすら法的な手続きを適用しようとしたり、人間が自然を定義し直していく過程がすべてつながっている。読み終えるころには、「価値観の変化って、こんなふうに社会の細部に染み込んで広がるんだ」と、今の自分の仕事や環境の見え方まで少し変わります。 歴史の奇談を読む感覚で入りつつ、文化の成り立ちにまで関心が伸びていくタイプの人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要

![室町社会の騒擾と秩序 [増補版] (講談社学術文庫)](https://m.media-amazon.com/images/I/91clmfGkknL._SY500.jpg)


