
中世史講義 ──院政期から戦国時代まで (ちくま新書)
高橋典幸 and 五味文彦
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この本について
仕事でも生活でも、組織の「仕組み」に自分が振り回されている感覚ってありませんか。立場や部署が変わるたびに、人や権限の動きが読めず、どこに話を通せば物事が進むのか分からなくなるあの感じです。自分だけが要領悪いのかと落ち込む日もあるのですが、この本を読んでいると、そもそも日本社会の基盤自体がずっと複雑で、みんな歴史的に同じことで苦労してきたんだな…と少し肩の力が抜けました。 印象的だったのは、中世の人びとが裁判で有利に動くために、武家・公家・寺社と、複数の法廷を渡り歩いていたという話です。判決が出ても自動では動かず、文書を申請し、届け、実行を促すまでが本人の仕事。私たちが今、「誰が決めるのか分からない」状況に戸惑うのと、構造としてはあまり変わらないんですよね。また、「氏からイエへ」という転換が政治の動きを左右していく描写も、自分の職場での“家ごとの論理”を思い出して妙に納得しました。さらに、将軍でさえ武士のイエの内側には踏み込めなかったというくだりを読むと、組織の限界や不干渉のラインが歴史的に形成されてきたことが見えてきます。 この本は、歴史の知識を増やすというより、「今の社会がどうしてこうなっているのか」を立体的に理解する助けになります。組織に疲れやすい人、構造に翻弄されている感覚がある人には、特に静かに刺さる一冊だと思います。
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