
グノーシス 古代キリスト教の〈異端思想〉 (講談社選書メチエ)
筒井賢治
講談社 / 2004-10-10
この本について
最近、自分が何を拠り所に生きているのか分からなくなる瞬間がありませんか。目の前のタスクは回っているのに、ふと「自分はどこから来て、どこへ向かってるんだろう」と足が止まる。忙しさでごまかしていた問いが、ある日いきなり胸に刺さるあの感じです。 『グノーシス』を読んでいて驚いたのは、この「根源的な問い」が二千年前の人々にとっても切実だったということでした。読者の方が保存していたのもまさにそこ――我々は誰だったのか、どこへ行くのか。古代の人が投げたこの問いが、今の自分にも重なる。しかも本書は、それを神秘でごまかさず、歴史の文脈や思想の背景の中で丁寧に扱ってくれます。「好奇心が悲劇を招き、啓示が救いをもたらす」という構造も、現代の情報過多の世界に置き直すと妙にリアルでした。知りたいのか、知らせてほしいのか、自分はどちら側に立っているのかを考えさせられる。 そして、この本が静かに効いてくるのは、自分の内側にある“本来的な部分”をどう扱うかという視点をくれるところです。グノーシス主義の神話をそのまま信じる必要はまったくなくて、むしろ「世界の見え方は時代によってこんなに違う」という距離が、逆に今の自分の前提を見直すきっかけになる。気づけば、自分の悩みがその大きな流れの中に置かれ、少しだけ呼吸が楽になる感覚がありました。 自分の立ち位置を言葉にできずにもやもやしている人ほど、じわっと刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
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