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春琴抄

春琴抄

谷崎 潤一郎

集英社 / 2015-12-01

累計読者数5
平均ハイライト数 37件/人
推定読了時間 約3時間43分
star総合評価 75/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 51%

この本について

仕事でも人間関係でも、「相手に尽くしているつもりなのに、気持ちが噛み合わないな」と感じることがあります。踏み込みすぎても、距離を置きすぎても違う気がして、そのあいだで揺れてしまう。自分の献身はどこまでが誠実で、どこからが執着なのか。この境目って、本当にわかりにくいですよね。 『春琴抄』を読んでいて刺さるのは、まさにその曖昧さの生々しさです。弟子として、奉公人として、恋慕として、どれにもはまりきらない佐助の立ち位置が、抜粋にある「裏面の消息」や「片腹痛く思えたでもあろう」という描写からじわじわ伝わってきます。誰かのために動いているつもりが、いつの間にかその人の価値観に自分を合わせすぎてしまう。春琴の好むものを自分も好むようになっていく佐助の姿は、極端だけれど、私たちの日常にも似た瞬間があります。 また、芸事における慢心への戒めや、試練によって増上慢を砕かれる感覚も、仕事で壁に当たる時のあのいやな痛みに重なります。努力しているのに報われない、と感じた経験がある人ほど、「ああ、自分も似たところがある」と静かに引っかかるはずです。 人と深く関わる時に生まれる濃い感情や、依存と献身の境目が気になる人には特に刺さる一冊です。読んだあと、自分のふるまいを少しだけ落ち着いて見直せるような、不思議な余韻が残ります。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

大阪道修町の薬商の次女・春琴は、幼いころに失明し、盲目の三味線奏者となる。その春琴に限りなく献身的に仕える丁稚の佐助。二人を通して描かれる耽美主義の極致。
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