
世界最強の女帝 メルケルの謎 (文春新書)
佐藤伸行
文藝春秋 / 2016-02-20
この本について
仕事でも日常でも、結局いちばん迷うのは「いつ動くべきか」と「どこまで踏み込むか」みたいな判断のラインだと思います。早く決めろと言われても、情報が足りないまま突っ込む勇気はないし、かといって待ちすぎればチャンスを逃す。そんな宙ぶらりんな時間に疲れてしまうことが、僕もよくあります。 メルケルの伝記を読むと、そのモヤモヤを少し違う角度から見られるようになります。彼女は石橋を叩いて渡るどころか、落ちる寸前になるまで動かない。でもそれは臆病さではなく、「時間が選択肢を削っていくプロセス」を知っていたからこその判断だったという描写が多く出てきます。決断の瞬間を自分で作るのではなく、状況が形を定めるのを待つ。これは仕事で無理に結論を急がず、あえて「まだ動かない」を選ぶことに少し安心をくれました。 もうひとつ刺さったのは、情報との距離感です。メディアに話しすぎて評価が下がった経験から、彼女は「与えすぎると権威が弱まる」と学んだ、というくだり。自分もつい、説明しすぎたり、全部オープンにしようとして空回りするので、引き算のコミュニケーションを意識するきっかけになりました。 感情を見せないようにしながら、実はロシア語も文学も深く理解していて、必要な場面では強く人道を貫く。その複雑さが一人の人物の中に同居していることが、この本から伝わってきます。完璧なリーダー像よりも、人間らしい揺れ幅のある人のほうが現実的だと思える人に、とても刺さる一冊です。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
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