
この本について
言葉を使って仕事をしていると、「そもそも自分が何を言おうとしていたのか」が途中でぼやけてくることがあります。定義を固めようとしては抽象に迷い込み、具体に戻ろうとすると別の語に言い換えてしまう。その往復で、何となく疲れてしまう感じ、僕もよくあります。 この本は、そういう“言葉のつかみどころのなさ”に向き合うときの視界を少しひらいてくれるものです。定義が文脈で変わりうることや、語る側の視点が意味を規定するという考え方は、普段の会議や文章作成の場面をそのまま説明しているようで、読んでいて落ち着きます。また、抽象語を即物的に扱ってみる発想や、語源に立ち返ることで前に進めるという指摘も、迷ったときの戻りどころとして実用的です。意味を固定しようと力むより、関係性のなかで言葉を見るほうが楽になる、という感覚がじわっと残ります。 「言っていることが自分でも曖昧に感じる」「言葉の使い方で話がすれ違うことが多い」という人には特に刺さると思います。完璧な定義を求めるのではなく、状況に応じて“どこを見るか”を変えていくための視点を、静かに手渡してくれる一冊です。
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