
脳からみた心 (角川ソフィア文庫)
山鳥 重
KADOKAWA / 2013-06
この本について
言葉って、普段はあたり前に使っているのに、いざ「なんでこの名前がこの物を指すんだっけ」と考えると急に心もとない感じがします。仕事で説明がうまくいかなかったり、人との会話で噛み合わなかったりすると、そもそも「意味の捉え方」自体が人によってズレているんじゃないか…と不安になることがあるんですよね。 『脳からみた心』は、そのモヤモヤを真正面から扱ってくれる本でした。抜粋にも出てきますが、人は言葉の「核心」だけでなく、そのまわりにある曖昧な裾野ごと受け取っていて、実はその曖昧さに助けられながら会話している。逆にその働きがうまくいかなくなると、「名前と物が重ならない」状態になり、見慣れた机ですら自信を持って指せなくなる。こういう具体的な患者さんの例が出てくるので、抽象論じゃなく、言葉の土台がどうできているかが腑に落ちます。 読んでいて特に感じたのは、文脈に頼って理解する力が、脳の損傷などで「範疇化」がうまく働かなくなった人を支える場面が何度もあることでした。普段の仕事でも「相手が選べない言葉を、文脈で拾っていく」ことってありますが、それが脳レベルでどれだけ大きな働きをしているのかを知ると、コミュニケーションの見え方が少し変わります。 言葉に対して薄い不安を抱えている人、説明や理解のズレに悩む人には静かに刺さる本です。僕自身、言葉が思っている以上に「曖昧さ」と「妥協」で成り立っていると知って、肩の力が抜けました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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