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鬼の蔵 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

鬼の蔵 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

内藤了

累計読者数3
平均ハイライト数 9.3件/人
star総合評価 45/100
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この本について

仕事でも日常でも、理由のわからない圧みたいなものに飲まれることがあって、「これって自分のせいなんだろうか」と考え込むことがあります。割り切れない出来事ほど、どこかに説明を求めてしまうんですよね。 『鬼の蔵 よろず建物因縁帳』を読んでいて感じたのは、そういう“割り切れなさ”に対して無理に答えを貼らなくてもいい、という静かな視点でした。 作中では、因縁という言葉が何度も出てきますが、それは怪異の話に留まらず、人が知らないところで受け継いできた痛みや祈りを含んだつながりとして描かれます。生まれに理由が付けられたり、役目を押しつけられたり、誰かの都合で物語をねじ曲げられたりする場面が続きますが、そこにいる人たちはみんな“そうするしかなかった”現実の中で生きている。その描写が妙に刺さりました。自分の悩みも、誰かの行動も、単純に善悪で分けられないことばかりだよな、と。 また、この本が効くのは、過去を断ち切るのではなく、いったん見つめ直す余裕を思い出させてくれるところです。隠温羅流が因縁を切りつつも、その重さまで受け取るように描かれていて、「解決=きれいに消える」ではない感覚がすごく現実的なんです。悲しみや祟りの裏側にある“誰かの選べなかった人生”を見たあとだと、自分の中のわだかまりにも別の角度が生まれる気がします。 割り切れないものを抱えたままでも前に進みたい人に、そっと刺さる物語です。

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