
鬼物語 (講談社BOX)
西尾維新 and VOFAN
講談社 / 2011-09-28
この本について
日々やっていることが正しいのか、他人と比べて自分ばかり損している気がして、ふと立ち止まってしまう時ってありますよね。頭では「事情なんて全員にある」と分かっていても、自分だけが置いていかれているような感覚が抜けない。そんなモヤモヤを抱えたまま過ごしていると、視界がどんどん狭まっていくように感じます。 『鬼物語』を読んでいると、その狭まった視界が少し広がる瞬間があります。人の言葉や行動の裏に潜む「街談巷説」みたいなざらついた噂話や、「道聴塗説」的な思い込みに気づかされる場面が多くて、自分の中で固まっていた解釈がいったんほどけるんです。バーナム効果のように、曖昧な言葉に自分を当てはめてしまう癖にも気づかされて、思っていたより自分の世界は歪んで見えていたのかも、と冷静になれます。 さらに、この物語に散りばめられた語彙や描写のひとつひとつが、ものごとを捉える角度をそっと増やしてくれる感覚があります。膾炙している言い回しの裏にある本音や、享楽的に見える行動の背景など、登場人物たちの複雑さに触れることで、自分自身の解釈にも余白を持てるようになる。誰かを単純に善悪で切り分けるより、その人の“事情”に目が向くようになるんです。 自分の悩みが正しいのか分からず、でも少しだけ視点を変えたい人に刺さる一冊だと思います。物語として楽しみながら、気づけば心の中の硬い部分が少しだけほぐれている、そんな読後感でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
読書の順序
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