
藪の中
芥川 竜之介
Google, Inc. / 1969
累計読者数6
平均ハイライト数 9件/人
推定読了時間 約14分
star総合評価 45/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 19%
この本について
人の話を聞いても、どこまでが本音で、どこからが思い込みなのか分からなくなる瞬間ってありますよね。仕事でも、誰かの発言の裏を読みすぎて疲れたり、逆に自分の認識に自信が持てなくなったり。そんなときに『藪の中』を読み返すと、少し視点の置きどころが変わります。 読者の方が保存していた「嗔恚」「悄然」「昂然」みたいな言葉の数々って、ただの古語というより、語り手それぞれの内側の揺れを示す手がかりだと思うんです。誰もが堂々としていそうで、実際には怒りや恐れやプライドを抱え、都合よく記憶を編集している。そのずれが「袖さえ捉えなかった」「縄は盗人の有難さに」みたいな細かな描写に染み出していて、読みながら自分の“思い込みの癖”まで気づかされます。 効き方としては二つあって、ひとつは、同じ出来事でも人の立場によって世界の見え方はこんなに変わるのだと、ごく冷静に受け入れられるようになること。もうひとつは、自分の記憶や感情も案外あてにならないと認めたうえで、人の話を聞くときに少し距離を置けるようになることです。曖昧さを怖がらずにいられるというか、急いで結論を出さなくてもいいと思えるようになります。 「物事の“確かさ”を探し続けてしんどくなっている人」には、とくに刺さると思います。大げさに人生を変えるような本ではないけれど、日々の判断のクセをそっと揺らしてくれる一冊です。
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出版社による紹介
芥川竜之介 -- 東大在学中に同人雑誌「新思潮」に発表した「鼻」を漱石が激賞し、文壇で活躍するようになる。王朝もの、近世初期のキリシタン文学、江戸時代の人物・事件、明治の文明開化期など、さまざまな時代の歴史的文献に題材をとり、スタイルや文体を使い分けたたくさんの短編小説を書いた。体力の衰えと「ぼんやりした不安」から自殺。その死は大正時代文学の終焉と重なっている。初出:「新潮」1922(大正11)年1月(青空文庫図書カードより)
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