
管仲(下) (角川文庫)
宮城谷 昌光
この本について
仕事でも人間関係でも、自分なりに考えて動いているつもりなのに、あとから「最初の見立てが甘かったな…」とか「結局、人の気持ちを読み違えたかもしれない」とモヤモヤすることがあります。状況の複雑さより、自分の視野の狭さのほうが怖くなる瞬間ってありますよね。僕も似たところで何度もつまずきました。 宮城谷昌光さんの『管仲(下)』を読んでいると、そのモヤモヤに少し風が通るような感覚があります。たとえば、好むものに毒があり、慣れたものに凶があるという一文。自分の「得意なやり方」にこそ落とし穴があるという感覚は、日々の選択にほどよいブレーキをかけてくれます。また、策が立つ者は人がわかる者であるという視点は、計算や効率に走って空回りした経験を思い出させ、結局は目の前の人を理解するところからしか物事は動かないんだと腹落ちしました。そして、生きていれば事態が好転する時がくるが、勝負はそこまでどう生きるかにあるという言葉は、結果を焦りがちな日々に「いまの姿勢」に目を向けるきっかけになります。 歴史書では描かれない心の揺れや、人が本性をあらわす瞬間が細やかに描かれているので、遠い時代の物語というより、自分の生活の隣にある出来事のように感じられます。決めつけはなく、けれど時々ドキッとする視点が差し込まれる。読んでいて、自分の凝りかたまった考えが少しほぐれる一冊でした。 とくに「状況よりも、自分の反応のほうがしんどい」と感じやすい人には、静かに効いてくると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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