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この世をば(上)

この世をば(上)

永井路子

ゴマブックス株式会社 / 2014-06-19

累計読者数4
平均ハイライト数 3件/人
推定読了時間 約6時間47分
star総合評価 29/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 31%

この本について

仕事でも人間関係でも、相手の腹の内が読めないまま場に巻き込まれていく感じってありますよね。こちらは静かに過ごしたいだけなのに、気づけば誰かの思惑に引っぱられている。自分は何もしていないのに、空気だけが妙にざわつく。そんなときに「今ここで何が起きているんだろう」と立ち止まりたくなる瞬間があります。 『この世をば(上)』を読んでいて、保存されていた抜粋が刺さる理由もまさにそのあたりだと思います。東三条院のように、前例のない存在がスッと現れて場の流れが変わる瞬間。道隆の勝手な振る舞いに、まわりが「またか…」と息をのみながらも従わざるを得ない息苦しさ。そして道長が、高松邸にいることを姉にあっさり見抜かれるあの場面。あれって、権力の大きさとか歴史的事件の話というより、人の勘や関係性の機微があまりにも生々しくて、現代の私たちでも「ああ、こういうのあるよね」と思ってしまうんですよね。 この物語が効くのは、華やかな平安貴族の物語だからではなく、人が思い通りにならない関係の中でどう立ち回るか、そのリアルな感触が描かれているからだと思います。状況の読めなさにモヤモヤしているとき、登場人物たちの判断が「自分ならどうする?」と自然に考えさせてくれる。もうひとつは、歴史上の“大きな名前”でさえ、実際には細かな気配の読み合いで動いていたことが伝わってきて、今の自分の悩みが少し地に足のついたものとして整理されるところです。 「人の機嫌や空気に振り回されがちな人」に、静かに刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化! 時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄の道隆や野心家である次兄の道兼に比し、平凡でおっとり、出世も遅々としていたが、姉である詮子の助力を得ながらも、左大臣の娘・倫子と結婚する。以来、徐々にではあるものの、道長にも運が向いてきて、姉・詮子、妻・倫子などの支援を受けながら出世街道を上りつめていく……。表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の素顔を見事に浮かび上がらせた名作。 目 次 男 と は 首 よ り も 今 宵 来 る 人 深 泥 が 淵 風 の 精 影 絵 あ し の う ら 離 洛 帖 花と地獄の季節 後 宮 明 暗 腥 風 の 荒 野 「一声ノ山鳥」 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。 また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。
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