
新・平家物語 完全版
吉川英治
ゴマブックス株式会社 / 2014-06-30
この本について
仕事でも人間関係でも、何かがうまく回っている時ほど「この状態がずっと続くはずないよな」と妙な不安が出てきます。逆に、家族や職場で衝突が起きた時には、他人よりも身近な相手のほうが傷が深くなるのはなぜなのか、自分でも説明がつかずにモヤモヤしたままになります。近い人間ほど感情が揺れやすいし、栄えている時ほど足元がぐらつく――頭では分かるのに、気持ちが追いつかない瞬間が多いんですよね。 『新・平家物語 完全版』の抜粋を読むと、読者が保存したのは派手な戦の場面より、むしろ人間の感情の奥底に触れる部分ばかりでした。「勝つは負ける日の初め」という視点は、調子の良い時こそ慎重さを取り戻させてくれるし、「骨肉相食む」の描写には、家族や身内との衝突がなぜこんなに厄介なのかの答えが静かに置かれているように思います。また、「宇宙観の冷厳だけでは、人間はあわれすぎる」という一文は、私たちがただの理屈や合理性だけでは立っていられない存在だと、そっと肯定してくれるようでした。 平家の興亡という大きな物語を読みながら、自分の生活の中の小さな波にも同じ法則が流れているのを感じられるのが、この本の効きどころだと思います。歴史を知るというより、人の弱さや業をそのまま抱えたまま生きていく感覚に寄り添ってくれる。そんなところが、迷いながら働いている人にはとても沁みます。 特に、「人間の感情の面倒くささに折り合いをつけたい人」には静かに効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの54%が集中しています。
読書の順序
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