
偽物語(下) (講談社BOX)
西尾維新 and VOFAN
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分は前に進んでいるのか、それとも同じ場所で空回りしているだけなのか」がふと分からなくなることがあります。論理で割り切ろうとしても、気持ちが追いつかない。逆に感情に振り切ると、あとで自己嫌悪がくる。その行き来で疲れてしまう時期ってありますよね。 『偽物語(下)』を読んでいて感じたのは、阿良々木暦の“振れ幅”そのものが、そういう迷いの縮図になっていることでした。論理的にありえない可能性を排除して残ったものを信じる姿勢や、「人間は身につけた服装通りの人間になる」という言葉に揺さぶられる場面。さらには、他人のための正義と自分のための正義がズレた瞬間に露わになる弱さ。これらが妙に現実に重なるんです。自分も同じように、理屈と感情のあいだを右往左往しているだけなんだな、と少し気が楽になる。 もう一つ、この巻には“変わってしまう自分”への戸惑いが何度も出てきます。当時の暦と今の暦は、生物学的に別人と言ってもいい、という言葉。あれ、妙に刺さる人は多い気がします。成長なのか劣化なのか分からないけれど、確かにあの頃とは違う。その感覚を、物語として軽やかに拾い上げてくれるのが、この本の面白いところです。 等身大で迷っている主人公が見たい人、あるいは「変わり続ける自分」とどう折り合いをつけるかに悩んでいる人には、意外としっくりくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
読書の順序
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