
不思議の国のアリス (角川文庫)
ルイス・キャロル、河合 祥一郎
この本について
最近、自分の気持ちがいつの間にかズレていくような感覚がありませんか。朝起きたときに「なんか違う気がする」と思ったまま仕事に向かう日や、周りの“正しさ”に合わせすぎて、ふと立ち止まった瞬間に自分がどこにいるのかよく分からなくなるようなあの感じです。僕もよく迷うのですが、『不思議の国のアリス』を読み返すと、その迷い自体を少し別の角度から見られるようになります。 この物語の面白いところは、アリスが自分の変化に戸惑いながらも、その都度「じゃあ、どうしよう」と考え直す姿勢がずっと描かれているところです。「いったい全体、わたしってだれ?」という強烈な問いも、決して大げさではなく、むしろ日常の延長にある混乱に近い。理不尽な相手に出会ったときのやるせなさとか、意味が分からないルールに従わされる窮屈さとか、こちら側の日常と地続きで読める瞬間が多いんです。 読みながら感じたのは、アリスの戸惑いや疑い深さが、ちゃんと“反応していい”ものとして描かれていることでした。まわりの言葉が理屈として通っていないのに、それらしく聞こえてしまうことって、僕たちの生活にもよくありますよね。そんなときに「今の、自分のほうが正しい気がする」と思い直すための距離感を、この本は少しだけ取り戻させてくれます。行列の意味が分からないなら立ち止まってみる、みんなのおせっかいが多すぎるなら少し離れてみる、そんな小さな動き方を思い出させてくれる感じです。 自分が変わってしまった気がする人、変わらないままでいることに妙なプレッシャーを感じている人に、静かに効く物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
読書の順序
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