
恋物語 (講談社BOX)
西尾維新 and VOFAN
講談社 / 2011-12-20
この本について
仕事でも人間関係でも、気づけば「何を大事にするべきか」がよくわからなくなることがあります。やるべきことは山ほどあるのに、どれが本筋で、どれがただのノイズなのか判別できなくなる。頭では分かっているつもりでも、気持ちが追いつかず、優先順位がぐちゃっと混ざる瞬間ってありますよね。 『恋物語』の抜粋を見ていると、読者が刺さっているのはまさにその「区別できなさ」に揺さぶられた感覚だと思います。精神的に追い詰められていると、人は大事なものを取り違えてしまう。作中の語彙の多さや、語り手の皮肉混じりの視点も相まって、自分の混乱を言語化してくれるような読後感があるんですよね。辞書に載っていそうな言葉が次々に出てくるのも、世界の見え方がじわじわ輪郭を持ち始めるようで、読んでいて不思議と整理されていきます。 この本が効くのは、まず「自分の迷いを、迷いとして扱っていい」と思わせてくれる点です。主人公の語りは冷静なようでいて、実は人間の弱さをよく知っている。その距離感が、自分の今の選択を一段引いたところから眺めるきっかけになります。もうひとつは、言葉の精度がそのまま思考の精度につながる感覚をくれるところ。抽象的に悩んでいたものが、具体的な言い回しに置き換えられるだけで、行動の優先順位が少し動きます。 「自分が何に振り回されているのかよくわからない人」に静かに響く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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