
この本について
仕事でも日常でも、ふと「自分の感覚ってズレてるのかな」と不安になることがあります。周りの基準に合わせようとしつつ、でもどうしてもしっくり来ない。そんなときに、兼好の「我ながら正気とは思えない気がする」という一文に救われる人は多いと思います。あの時代の人まで、自分のズレ方を静かに笑って受け入れていたのか、と。 この『これで読破! 徒然草』は、原文の味をそのままに、兼好という人物の生き方そのものを少し立体的に見せてくれます。俗人と俗物の違いを丁寧に説明してくれたり、下級貴族としての修練や失恋や挫折を経て、なぜ彼が出家という選択に向かったのかを追いかけたりしているので、あの独特な達観が「特別な悟り」ではなく、かなり人間くさい揺れの中から生まれていると分かってきます。全方位肯定の視点だって、もともと暇を持て余した天才の余裕ではなく、世俗を離れたからこそ観察に時間をかけられた結果なんですよね。 自分のペースで生きたいのに、社会と完全に切り離されるのも違う。その間で揺れている人に刺さる一冊だと思います。兼好が何百年も前に同じように迷い、同じようにズレながら、それでも世界を面白がっていたことが分かると、肩の力が少し抜けます。
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