
イノベーターたちの日本史―近代日本の創造的対応
米倉 誠一郎
東洋経済新報社 / 2017-04-28
この本について
仕事でも組織でも、「自分が動いても全体は変わらないんじゃないか」とか、「時代の変化に合わせたいのに、周囲の空気に足を取られる」というモヤモヤを抱えることがよくあります。自分の判断が本当に正しいのか、そもそも何を根拠に考えればいいのか迷うんですよね。 この本を読んでいて印象的なのは、歴史に埋もれていそうな場面で、実際には“誰かが具体的に判断し、動き、組織を変えていた”という事実がくっきり浮かび上がるところです。たとえば三井の独立子会社の話。表向きは単なる組織構造に見えても、そこで社長として意思決定を担った人たちが実践の中で鍛えられ、のちにグループ全体を動かす人材に育っていく。この「環境によって人が育つ」感じは、今の会社で自分がどこに身を置くかを考えるときの判断材料にもなりました。 一方で、清朝の例のように、外部情報を遮断したり、内部の不信感を放置したりすると、どれだけ巨大な国家でも意思決定が鈍り、同じ戦術を繰り返してしまう。これは現代の組織でも、自分の周りでも、心当たりがある人は多いと思います。変化に対応できるかどうかは、個人の資質よりも「どういう構造の中で判断しているか」のほうが効いてくるんだと実感させられました。 自分の置かれた状況を“ただの運”で片付けたくない人、そして変わりたいという気持ちはあるけれど、どこから手をつければいいのか分からない人には静かに刺さる本だと思います。歴史の話なのに、今の自分の動き方を考える材料がそのまま落ちている一冊でした。
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