
虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)
早坂吝
講談社 / 2015-02
この本について
人間関係って、表向きはうまくやれていても、ふとした瞬間に「相手は今、どんな気持ちなんだろう」とか、「自分だけ置いていかれるんじゃないか」とか、言葉にしにくい不安が出てきませんか。特に、誰かの“気配”だけが残っていて、理由もわからずすれ違っていく感じ。説明できないのに、妙に胸に残るあの感覚です。 『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』を読んだ人が保存していた抜粋を見て、まさにその“気配の謎”に引っかかっているんだろうなと思いました。開きっぱなしのドア、そこにいるはずの人がいない場面。あるいは、周囲が軽口を叩く横で、当事者だけがまだ答えにたどり着けない状況。ミステリーとしての仕掛けももちろんあるのですが、読んでいると、行方のわからない誰かを想う気持ちや、当たり前の会話の裏にある温度差が、妙に現実と重なってくるんです。 この本が効いてくるのは、まず「他人の行動に理由が見えないときの不安」を、物語を通して少し遠くから眺められるようになるところ。登場人物たちの戸惑いが、自分の抱えているモヤモヤの“別の形”として立ち上がってくるので、気持ちが整理されやすいんです。また、失踪や探し続ける家族の描写が、人とのつながりが曖昧になる瞬間の心の動きを拾ってくれるので、自分の中の「言葉にならない部分」を代わりに照らしてくれます。さらに、軽妙な会話劇の裏にある孤独みたいなものが、行き場のない感情をそっと受け止めてくれる感じがします。 こんな人に刺さると思います。誰かとの距離感に疲れつつ、だけど簡単に割り切れないまま日々を続けている人。ミステリーとしての面白さはもちろん、読後に静かに残る余韻が、いま抱えている“説明しにくい不安”に寄り添ってくれるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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